メディア文化学専修について

メディア文化学専修は、情報・史料学専修と二十世紀学専修が合併することにより、2018年度に発足した新しい専修です。この新専修の理念・目的を以下に紹介します。

現代はメディアの高速化・大規模化・廉価化・大衆化・グローバル化が著しく、文化や情報は短時間のうちに伝播拡散し、それにより国や地域を超えた新たな文化・価値観・生活様式が生み出されています。しかし、同時に従来の文化・国家・制度も存続しており、社会的規範や歴史認識などをめぐる新たな政治的・文化的な軋轢を生みだしています。

本専修では、こうした現代特有のメディアや文化事象にかかわるさまざまな問題を考察します。本専修の教育の大きな特徴は、従来の人文・社会科学の手法に基づきつつ、新しい事象を扱うためにこれまでになかった分析視点や他分野の手法なども積極的に採り入れる点にあります。そのため本専修では、歴史学・哲学・社会学・文学に加えて、マンガ学、ゲーム学、人文学系の情報学などの科目が用意されています。

本専修での研究テーマはジェンダー表象、視覚文化、ファッション、ゲームなど多岐に渉りますが、所属学生には各々の研究テーマに即した方法論を自ら切り拓く気概が求められます。

メディア文化学って?

わたしたちのメディア文化学専修の英語名は、“media and culture studies”です。「メディア」も「文化」も多義的なのですが、まずこの専修では、ざっくり言うと、人々の行動や世界観(アイデンティティや身体感覚も含む)のありようと、メディアテクノロジーのデザインとの相互作用に着目し、変容を続ける「メディア文化」と呼びうる不定形な領域の諸相を記述し、その仕組みや意味をとらえようとすることを通じて、人間や社会を理解しようとしています。そのためには、こうした領域に関わるさまざまな学問的議論の積み重ねが提起してきた論点や分析概念の数々を、それぞれの時代性や社会との関わりを意識しながら取り込むことと、研究対象とする事象の成り立ちの過程(歴史)を把握することを大切にしています。

さて、この「メディア」ですが、それを論じる学問的議論の射程はそれぞれの時代性や問題意識によってかなり変遷しています。加えて行政用語として登場する場合には、日本では通信インフラや視聴覚メディアを指すといった限定的な用法も見られることから、論者によって指示内容はさまざまです。わたしたちの専修では、専任教員の専門領域から、レフ・マノヴィッチのいう「ニューメディア」、つまりデジタル時代のメディアを論じることに強みがありますが、対象をそれに限るわけではありません。専修メンバーのそれぞれが、その研究を通じて人間や社会を理解することにつながると考えるおもしろい対象をみつけ、それを論じるにふさわしいこれまでの議論の蓄積や分析概念を適切に取り入れつつ、可能ならばそれを発展・深化させられるような新鮮な論点が提示できれば、大変嬉しく思います。

メディア文化学を勉強しよう

大学院進学をご希望の方へ

他大学・他学部・他専修から修士課程への入学をご希望の方へ

本専修の教員に事前にコンタクトをとる必要はありませんが、教員の専門や過去の学位論文などを十分に参照したうえで進学をご検討ください。

例年9月下旬ごろに大学院入学説明会を開催していますので、そちらもご活用ください。詳細はこのページなどで告知します。

博士後期課程への編入学をご希望の方へ

博士後期課程からの編入学者には、入学時点ですでに高い研究能力を備えていることが求められます。具体的には、すでに一定の研究業績があり、博士論文を書くための材料と見通しが十分に整っているなど、ハードルの高い条件です。

それゆえ、本専修では、博士後期課程への進学をご希望の場合でも、基本的には修士課程からご入学いただくことを推奨しています。

大学院入試の過去問について

メディア文化学専修を含めた現代文化学専攻の大学院入試問題の過去問は、過去3年分にかぎってオンライン公開しています。詳細は以下のページをご覧ください。

現代文化学専攻ウェブサイト | 京都大学 大学院文学研究科・文学部

専修分属について

分属を検討されている学部1・2回生の方へ

本専修への分属を希望される方は、2回生の分属時期までに、メディア文化学の系共通科目(講義A)と系共通科目(講義B)の少なくとも片方を履修しておくことが望ましいです。

詳しいことは、系分属説明会(1回生向け)や専修分属説明会(2回生向け)で説明します。本専修への分属希望者は、できるだけ説明会に出席してください。