京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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国語学国文学専修修士 2回生なぜ京都大学大学院文学研究科に進学しようと思ったのですか「もっと日本語について勉強したい!」という自分の思いに従っただけ、というのが正直なところです。高校生の頃から古典文法に強い関心があり、その興味のままに、卒業論文も「平安期の格助詞『に』について」というテーマで論を展開しました。卒業論文を執筆にあたって色々なことを調査する過程で、調べれば調べるほどわからないことが出てきて、「このままもうちょっと勉強し続けたいなあ」と思い、進学を決めました。京大の図書館は極めて蔵書数が多い上、和装本も気軽に貸出ができます。研究環境としてとても恵まれているため、他大学への進学は全く考えていませんでした。文学研究科ってどんなところですか学部にはない「大学院演習」という授業が特徴的です。専修の院生だけが参加し、毎週1人ずつ発表を担当しながら、全員で議論を行います。正直、発表の準備はかなり大変ですが、様々な角度から意見を頂ける、有意義な時間です。また、文学研究科の守備範囲はとても広く、言語学、歴史学、心理学、地理学、社会学など、様々な分野の授業が開講されており、自分の専門分野以外の授業も、関心に応じて気軽に受講することができます。どんな学生生活を送っていますか分野にもよりますが、文献文化学の研究は時間や場所を選ばずにできることが多いため、一般的にイメージされる「大学院生」よりは、時間に融通が利きやすいと思います。私自身も、陸上競技部で選手として活動しているほか、塾講師のアルバイトもしています。どちらも学部1回生の頃から継続しており、今年で6年目です。塾講師のアルバイトでは、小学生から高校生に国語の指導をしています。大学での研究内容とつながる箇所も多く。日々楽しみながら教壇に立っています。忙しくはありますが、課外活動にも全力で取り組むことで生活にメリハリが出て、研究活動にも良い影響が出ているように感じます。週間スケジュール ※修士課程2回生(前期)大学院受験に向けて取り組んだことを教えてください外国語試験(英語)に向けては、高校時代の英単語帳を1ヶ月ほどやり直しました。予想以上に単語を忘れていてかなり焦りました。専門試験に向けては、「キーワード集」の作成に注力しました。「上代特殊仮名遣い」「更級日記」など、国語学・国文学の重要なキーワードについて、概論系の参考書や事典類などを参照しながら、自分の言葉で400字程度でまとめるというものです。まとめた後は何度も繰り返し読んで覚え、キーワードを見ただけで説明が復元できるようにしました。この時に覚えた内容は、専門試験の論述問題でそのまま活用できましたし、今でも自分の知識基盤になっています。専門試験の出題範囲は広くて大変ですが、それに合わせて幅広く知識を拡充することは、入学後の研究活動にも大いに役立つと思います。研究テーマについて教えてください平安時代の日本語について研究しています。「作品を読む過程で気になる用例を見つける→その用法に関する先行研究を調べ、現在の研究状況について確認する→データベースなどを活用して関連する用例を集め、1つ1つの用例を十分に確認する→複数の用例を比較検討・分析し、考察を行う」という地道な作業の繰り返しです。現在は特に平安時代の終助詞について関心を持っています。他の種類の助詞と比較しても、終助詞はまだ用法が明らかになっていないものも多く、研究・考察のしがいがあります。自宅や共同研究室で研究活動月火水木金共同研究室で研究活動(当番)16:45授業「国語学国文学(演習)」大学院受験の際に作ったキーワード集。今でもよく参照します。宮島に行った時に見つけた歌碑。くずし字は苦手なのですが、観光地などで見つけるとつい読みたくなってしまいます。夢や進路について教えてください満足のいく修士論文を書き上げることが当面の目標です。博士後期課程には進学しない予定なので、全力を尽くして修論執筆にあたろうと思います。修了後の進路は未だに迷っていますが、何らかの形で「言葉」に関わる職に就く予定です。未来の文学研究科生へのメッセージを一言きっとみなさん一人一人が、「自分はこれを研究したいんだ!」という熱い思いを持っていることと思います。その興味を、思う存分に探求できる場所が、文学研究科です。研究室に行けば、自分と興味の近い人が何人もいて、気軽に議論を交わすことができます。こんな場所、なかなかありません。是非ここで、どっぷりと自分の興味を突き詰める学生生活を送ってください。印象に残る出来事を教えてください研究室内で、大学院生主導の勉強会が多数開かれています。「平家物語研究会」「物語輪読会」「近代語読書会」など、分野も様々です。私は昨年から「国語学勉強会」に参加しています。みんなで1つの古典籍を読みながら、思ったことを参加者が思い思いに発言して議論するという自由な会です。月に1回、2時間の開催なのですが、意見が尽きることがなく、2時間かけて1行だけ読んで終わりということもよくあります。進捗を気にせずに自由に議論して学びを深められる、とても楽しい時間です。8:45授業「国語学国文学(特殊講義)」10:30授業「国語学国文学(特殊講義)」今年は5年ぶりに研究室旅行が復活。行き先は天橋立でした。絶景。16:45授業「国語学国文学(演習)」中距離走(800m)の選手として走っています。自己ベストを目指して今年も頑張ります、45山口 佐助 さん

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