京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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どんな学生生活を送っていますか転学部をしたため、3回生では一般的な文学部1・2回生と同じくらいの数の授業を取っていました。しかし、アルバイトをしたり、余暇活動を行う余裕はある程度の忙しさだったので、大きな負担ではありませんでした。4回生の現在は、サークルには参加していないものの、自らの研究やアルバイトの傍らクィア理論についての読書会やパレスチナ問題について、特にクィアな視点から取り組む活動などを行っています。専修の先輩や先生の研究活動にも参加させてもらったりと、充実した生活を送っています。日本哲学史専修 4回生高瀬 めぐみ さんなぜ京都大学文学部に進学しようと思ったのですか私は京都大学法学部に入学した後、3回生に上がる際に文学部に転学部しました。元々、ジェンダーに関する問題に取り組む弁護士になりたいと考え法学部を志望しましたが、憲法や法哲学、政治哲学などを学ぶうちに、法律の枠を超えてより深くジェンダーやクィアの視点から人間や社会について追求することに関心を持つようになり、転学部を決意しました。文学部ってどんなところですか他学部から文学部にやって来た身として感じる文学部の特徴は、一人一人が非常に独自の興味関心を持っている、という点です。文学部と一言で言っても、その中には私が学ぶ哲学の他に、文学や歴史学、言語学など様々な分野を研究している人々がいます。そのため、同じ学部生でも人によって全く異なる視点や知識を持っており、文学部生一人に出会うたびに自分の世界が一つ広がっていくような、そんな魅力があります。また国籍、年齢、セクシュアリティなどについて多様な方々がいるため、人間として学ぶことが多く、日々様々な刺激を受けて生活することができます。受験勉強のコツはありますか現役時は他の大学を受験し不合格になり、予備校に通わず自宅で一年浪人生活を送り、京都大学に合格しました。この経験から考える受験勉強のコツは、自分を徹底的に分析して知ることです。模試の分析を通して各教科における自分の弱点を知ることはもちろん、集時間割 ※学部3回生(前期)中力やモチベーションを保つ方法を自分自身と向き合うことで理解し、自覚を深めることが重要です。受験勉強とは自分という人間にじっくり向き合う、大変だけれども貴重な経験だと思います。勉強はもともと好きですか小さい頃から勉強は好きで、親から勉強しなさいと言われたことはありません(笑)。むしろ勉強ばかりしていないで家の手伝いもしなさいと言われる始末でした。本を読んだり、情報をまとめたり、文章を書くことがずっと好きなので、文学部での勉強は自分に合っているなと感じます。夢や進路について教えてください私が哲学を志したきっかけは、ジュディス・バトラーという哲学者でした。この人の様に現代社会の問題に深い哲学的洞察を持って挑む哲学者になることが夢です。具体的な進路としては、現在所属している専修の修士課程に進み、将来的に研究者を目指したいと考えています。日本哲学史という一般的に哲学として想定される西洋哲学とは異なる発想を持つ分野から、ジェンダーといった今日的な問題に取り組むことで、新しい視点を創造することを目指しています。クィア理論やポストコロニアリズムなど比較的新しい学問分野にも関心があるので、視野を狭めず、海外留学も含め、自らの行き先を探っています。未来の文学部生へのメッセージを一言文学部に進学しても将来のためにはならない、そんなこと学んでどうするの?などとという言葉をよく聞く昨今ですが、文学部での学びには大きな可能性があります。気候危機が進行し、世界中で分裂や対立が表面化する今の時代に、人間や世界について深く追求し、時には既存の社会システムを超えるような新しい発想を出すために必要なことを学べるのが文学部だと思います。文学部/人文学なんて役に立たない、そんな判断を下す世の中自体を変える力が文学部と人文学にはあります。そう考えると文学部に大きな魅力と可能性を感じませんか?1限2限3限英語学英文学(特殊講義)4限系共通科目5限(中国文学)講義系共通科目(キリスト教学)講義メディア文化学(特殊講義)(西洋近世哲学史)講義日本史学(特殊講義)系共通科目(日本哲学史)講義日本哲学史(演習)月火水木金印象に残る出来事を教えてください3回生から4回生に上がる春休みに、文学部のハイデルベルク大学・ストラスブール大学派遣プログラムに参加し、ドイツとフランスに1週間滞在しました。両大学で多様性をテーマにしたワークショップに参加し英語でのプレゼンを行ったり、ナチスに拠るシンティ・ロマ迫害の資料館を訪問したり、美術館でアウトサイダーアートの展示を観たりと、多くの学びがあるプログラムでした。両大学の学生とも密な交流をして様々な話をすることができ、将来の長期留学を考えるきっかけになるなど、非常に印象に残る経験になりました。このプログラムは文学部生のみが対象で、ドイツとフランスの二カ国を訪れることができますので、魅力的だと思います。哲学基礎文化学系(ゼミナールⅠ)系共通科目日本哲学史(特殊講義)日本哲学史(基礎演習)ハイデルベルク大学で行われたワークショップでの発表の様子です。ノートルダム大聖堂で撮影したプログラム参加者の集合写真です。西洋哲学史(特殊講義)講義系共通科目(中国哲学史)ストラスブールのノートルダム大聖堂です。息を吞むような美しさでした。44INTERVIEW在学生インタビュー

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