京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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洛中洛外舊地圖(※)祭祖大経■■文字經(※)学生時代はその図書館に入り浸っていた。そこしか居場所がなかったためだが、次第に図書館というものが持つ力と面白さに心が惹かれるようになった。昔は昼休みの一時間、書庫に鍵がかけられていた。よく閉じ込められて、図書館を独占した気分を味わったものである。本当の意味で図書館を使えるようになることが大学で学ぶことの意味だと思う。図書館で勉強する。図書館で遊ぶ。図書館であえて本を読まない。図書館の使い方としてすべて正しいと思う。ぜひ図書館を楽しんで下さい。本図書館所蔵資料の中で特別に貴重な資料約10,000冊については「貴重書」として書庫内に別置しています。和書、漢籍、アジア諸言語本、洋書について、年代の古い刊本や写本、名家手写本(書き入れ本、自筆稿本、書簡等を含む)などの特に資料的価値の高いものを収蔵しています。例えば永禄年間に近衛稙家が誂えたと伝えられる源氏物語の写本(国文学)や「アウグスティヌス『小論集』(1491年)」(哲学)があります。前者は2009 年度に大型コレクションとして購入されたもので美しい黒漆の箱に収められ、上質の斐紙に里村紹巴をはじめ当時の高名な書家達が書写したものとされています。後者は刊行年が1500 年までのインキュナブラと呼ばれるものの1 冊です。貴重なものを後世へ伝えるため、ときには必要な補修をし、温度、湿度の管理をして保存しています。2024(令和6)年度には収蔵資料の価値にふさわしい環境を整備するため貴重書庫をリニューアルしています。また大学の貴重資料電子化事業に参加して電子化画像の公開を少しずつ進めています。あわせて本図書館には、主に文学部教授の旧蔵書を受け入れ、個人名を冠した30の「特殊文庫」があります。この中には哲学の西田幾多郎や画家の須田国太郎の旧蔵書もあり、特殊文庫の総冊数は約82,000冊にのぼります。貴重書は閲覧のみですが特殊文庫は貸出も可能です(劣化資料を除く)。文学研究科図書館長 大槻 信(※)京都大学文学研究科図書館所蔵年中行事絵巻(※)本館・書庫43文学研究科の貴重書と特殊文庫文学研究科図書館長からのメッセージ最近、図書館にはあまり行かないようにしている。行くとなかなか帰ってこられなくなるからだ。「知の迷宮」という言葉にこれほどふさわしい場所も他にない。蔵書数は附属図書館を凌ぐ。文学研究科図書館は京都大学で最大の図書館なのである。

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