京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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歴史基礎文化学系考古学とは、おもに発掘調査で得た物証(考古資料)から、歴史像に迫る学問です。本専修の基礎となったのは、1916年に濱田耕作が設けた日本最初の考古学専門の講座で、以後、徹底した資料の観察と分析を重視する学風が築かれました。過去の人間が作り使用したモノや彼等の生活痕跡さえあれば、考古学研究の対象は時代や地域を選びません。発掘によって各種の歴史情報を含んだ物証を獲得し、それから物質文化を認識し、背後にある精神文化をも読み取るのです。製作者や使用者から直接証言が得られない考古資料を解釈するには、わずかな痕跡も見逃さない注意力と、文化人類学など他の人文・社会科学分野の広い知識が必要です。また、動植最近の卒業論文■弥生前期 〜古墳前期の組合せ鋤の諸様相■ 素窒素同位体比分析による食性からみた❶❶教員紹介 1 専攻分野 2 現在の研究テーマ縄文時代社会組織の研究朝鮮考古学朝鮮三国時代の考古学的研究、朝鮮考古学史教授 吉井 秀夫12最近の修士論文■器種構成からみた縄文土器の地域性■ 中近世移行期における東アジア海域交流の再編過程物遺体の遺伝子観察のような、科学的でミクロな分析も、現代の考古学では歴史像復原に貢献しています。自分で分析する必要はありませんが、自然科学分野の分析技術がどのような情報をもたらしてくれるか、常に深い関心をはらう必要があります。研究は、他大学・諸研究機関や都道府県・市町村が行なった発掘成果や所蔵資料も参照して進展します。礼を尽くしたつきあいも心がけねばなりません。考古学講座の初代教授であった濱田耕作は、考古学には博物館が必要と考え、文学部陳列館に考古資料の展示室をつくりました。陳列館の一部は国の登録文化財になり、現在も文学部の研究・教育の場として活用されています。❷❷❸❸教授 下垣 仁志12最近の博士論文■ 古代の木器製作における技術基盤の考古学的研究■春秋戦国時代の青銅器生産写真 ❶ 大阪府青松塚古墳横穴式石室   ❷ 大阪府青松塚古墳調査風景   ❸ 文学部陳列館     (通常、関係者以外立入禁止です)日本考古学古代国家形成の考古学的研究30DEPARTMENT OF ARCHAEOLOGY考古学専修

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