京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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哲学基礎文化学系写真 ❶ 西田幾多郎『日本文化の問題』直筆原稿   ❷ 大正から昭和にかけて刊行された西田の著作   ❸ 専修の大学院生、研究生、ヒルデスハイム大学のElberfeld教授とともに日本哲学は、比較的新しい学問分野です。明治初頭から西洋哲学が本格的に受容され始め、「哲学」という語が訳出されます。それから「哲学」という学問が開かれ発展してきたのです。日本哲学とは、その発展を通して日本独自の思考法や課題をもとに生み出された哲学だと考えられます。明治以降、日本における日本語で書かれた哲学が、いかに形成され成熟してきたのかについて考究する。これが本専修の主な研究課題です。京都学派の知的基盤を形成した西田幾多郎、そして田辺元、三木清、西谷啓治、あるいは彼らと思想的に近い九鬼周造や和辻哲郎などに関心をもつ学生が、国内外から集まり思索を深めています。このような哲学者の日本語による哲学書を読むからと言っても、油断はできません。日本哲学はその由来からして、根本的に比較哲学です。テキストには、カントやヘーゲルなどの西洋的思想が、また一方では仏教や儒教などの東洋的宗教の概念や論理が綿密に織り込まれています。だから言葉は自然と難解を極めます。日本最近の卒業論文■ 九鬼周造の偶然論における目撃する主体■ 西田幾多郎は「私と汝」のはざまに何を見たか■九鬼周造の押韻論と存在論最近の修士論文■柳宗悦の民藝論 −易行道をめぐる考察■清沢満之における「語り」の問題■ 鈴木大拙における「霊性」の立場と環境倫理の問題■マルクス主義の地平の廣松渉 事的世界観■数学的関心を中心に見る二人の哲学者の邂逅❶❶教員紹介 1 専攻分野 2 現在の研究テーマの比較哲学の深遠な思想をじっくり読み解くためには、東西の思想をそこから掘り起す、外国語の原文も丹念に理解する、そして比較するという一連の作業が必須です。しかし、難解なテキストの読解にどっぷり浸かった研究だけで終わるのではなく、さらにそれが、今、私たちの生活、人生に対して意義をもつにはどうしたらいいのか、このような発想にまでもってゆきたいですね。日本哲学の研究の可能性はまだまだ広がるはずです。本専修は、毎年、次のような教育・研究に関する活動を行っています。数名の学生による国際学会での研究成果発表、日本哲学史フォーラム(年2回の公開講演会)の開催、『日本哲学史研究』(紀要)刊行。詳しくは、専修のサイトをご覧ください。https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/department/division-philosophy/japanese-philosophy/最近の博士論文■田辺元の種の論理■ 西田哲学とフッサールの現象学助教 フェルナンド・グスタヴォ・ヴィルツ1221DEPARTMENT OF JAPANESE PHILOSOPHY❸❸❷❷教授 上原 麻有子日本哲学・翻訳学1京都学派の哲学における翻訳の問題、2女性哲学日本哲学・ドイツ観念論京都学派の哲学における神話の概念、三木清、戸坂潤、異文化哲学日本哲学史専修

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