哲学基礎文化学系哲学専修は、文学部の中でも、研究対象の選択の自由度が最も高い場所の一つである。なんたって、名前が「哲学」。国文学や仏文学にまじって「文学」専修があるようなもの。一段と高いはずの分類項目が、より細かい項目の間に紛れている珍現象を哲学の業界用語では、カテゴリー・ミステイクと言う。でも、これはなかなか由緒のあるミステイクなのである。本専修は京大文学部創設以来の講座であり、その後、哲学系の講座が次々と設立された後でも「哲学・西洋哲学史第一講座(哲学)」にとどまり続けた。そこには言語圏や時代や分野を限定せず、広く過去の思想伝統を吸収し、その上で独自の哲学を生み出す「場」を確保しようとする、京大哲学科の意志を感じ取ることもできる。事実、「純哲」と呼ばれた最近の卒業論文■カントの概念論■ ベネターにおける快楽と苦痛の非❶❶教員紹介 1 専攻分野 2 現在の研究テーマ対称性について近現代哲学数理哲学、分析アジア哲学論理学証明と計算の哲学・非古典論理英米哲学ヒューム、英語教育、産学連携Wittgensteinを中心とした初期分析哲学哲学的知見を基礎とした次世代ビジョン構築教授 出口 康夫12特定准教授 大西 琢朗12特定助教 渡邊 一弘(成長戦略本部所属/文学研究科兼任)12特定助教 高木 俊一12最近の修士論文■『エチカ』第三種の認識の圏論的解釈■ Perceptual Experience in Haackʼs Foundherentism and Peirceʼs Pragmatism本講座は、西田幾多郎・田邊元両教授を含む歴代教官・教員の下で、「京都学派」の根拠地となったのである。というわけで、この伝統あるカテゴリー・ミステイクの産物たる本専修は、一生に一度くらいは、物事の根本についてじっくり考え抜きたいという皆さんに大きく門戸を開いている。社会や国家の仕組みについて、科学や宗教の正体について、人生いかに生きるべきかについて。思索が、既存の学問の枠をはみ出し、その学問の基礎を問い直す射程と気概を持つとき、それは何であっても「哲学」と呼ばれ、本専修の守備範囲に入ることになる。「クラシックかつアバンギャルド」。どのようなテーマに取り組むにせよ、これが本専修のモットーなのである。最近の博士論文■ヒュームの懐疑主義的自然主義 −『人間本性論』における方法・実践・帰結−■ 広義の自己言及のパラドクスの解決方法とその❷❷准教授 大塚 淳12特定准教授 五十嵐 涼介(成長戦略本部所属/文学研究科兼任)12特定助教 辻 麻衣子12コスト写真 ❶ 院生ゼミの様子 ❷ 研究室科学哲学(生物学/統計学の哲学)統計学・機械学習理論の哲学的含意論理学・情報の哲学「概念」の哲学的・数理的分析近代ドイツ哲学19世紀ドイツ、特に新カント派における心理主義19DEPARTMENT OF PHILOSOPHY哲学専修
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