京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
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西洋文化学系本専修ではギリシア語とラテン語で書かれた作品を読むことにより、古典古代(前八世紀から後二世紀頃まで)の文学と思想、その根底にある神話と宗教、さらにはそれを育んだ社会と歴史を研究します。ギリシア語とラテン語で書かれているものであれば、科学や医学の文献も研究の対象となります。ギリシア文学は前八世紀のホメロスの叙事詩(『イリアス』『オデュッセイア』)に始まり、抒情詩(サッポー、ピンダロス)、悲劇(アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデス)、喜劇(アリストパネス、メナンドロス)、歴史(ヘロドトス、トゥキュディデス)、弁論(デモステネス)、古代小説等のジャンルを次々に生み出し、ラテン文学もキケロ、カエサル、ウェルギリウス、ホラティウス、オウィディウス、リウィウス、最近の卒業論文■ 『アルゴナウティカ』におけるヘラクレスとメデイ❶❶教員紹介 1 専攻分野 2 現在の研究テーマアの孤立性■ アキレウス・タティオス『レウキッペとクレイトポン』における二重性の持つ役割について■ オウィディウス『恋の歌』1巻11歌、12歌に表れる二面性の表現■ ウェルギリウス『牧歌』第2歌における南風の意味西洋古典学ローマにおける文学・神話・社会准教授 河島 思朗12れる対等な友好関係とfidesについて■ 『イーリアス』におけるディオメーデースの英雄像セネカ等の作家がギリシア文学を受容し発展させつつ、恋愛詩や諷刺詩のジャンルを加えて、今日の世界文学の基礎となりました。ギリシア・ラテンの文学はギリシア神話を題材にするものが多いのですが、同じ神話が時代により作家によりどんどん変わっていきます。神話が変容しつつ新しい意味を付与されて生き続けるように、ギリシア・ラテン文学には原型的なものが無尽蔵に隠されています。また、ラテン語は今も教会や一部愛好家のラジオ放送で使われていますし、動植物の学名や医学用語のほとんど全てがギリシア語・ラテン語でできていることを思えば、古典古代は今も生きていると言えるでしょう。最近の修士論文■『オデュッセイア』における「島」■アイアスの狂気と神の介入■ ウェルギリウス『アエネーイス』に描か助教 竹下 哲文12最近の博士論文■ ラテン文学における文学的モ❷❷チーフとしてのfi des■ エウリーピデース『ヒッポリュトス』の研究■詩の中の宇宙−マールクス・マーニーリウス『アストロノミカ』研究−写真 ❶ Vergilius Aeneis IV. opera, Venedig 1555   ❷ 授業風景ラテン文学教訓叙事詩、特にルクレーティウス『事物の本性について』12DEPARTMENT OF CLASSICS西洋古典学専修

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