京都大学大学院文学研究科・文学部案内2024
10/52

東洋文化学系 『アラビアン・ナイト』で、魔法のランプをもつアラジンは、中国人として描かれています。古来、〈中国〉で、多様な民族と文化が交錯し、遠くから好奇の視線を向けられていたからこそありえた物語設定でした。数千年にわたる文化交渉のなかで、周囲へ影響を与え、他からも新しい要素を受け入れ、呼吸しつづける巨大な場、それが〈中国〉だといえるでしょう。 一方で、〈中国〉は、ひとつの文字体系、ひとつの言語を、二千数百年にわたって安定的に維持してきました。実態は多様なのに、ひとつのことばで自らを覆いつくそうとする―― そこに〈中国〉を読み解くおもしろさがあります。正しく読み解くためには、古典・現代語にまたがる確実な語学力とひ最近の卒業論文■字書における漢数字について■ 林文月訳『源氏物語』における和歌の❶❶教員紹介 1 専攻分野 2 現在の研究テーマ中国語訳について■ 謝冰心の短編小説における家庭と女性の描写について―《最後的安息》と《分》を中心に―写真 ❶ 本研究室蔵の貴重資料より   ❷ 中文初代教授狩野君山像を囲んで(於人文科学研究所中庭)   ❸ 毎年恒例のお花見(於鴨川河川敷)中国語学史近世中国語、中国周縁地域の官話教育史教授 木津 祐子12■ 唐代の小説における道士と僧の関係■ 『諧声品字箋』の書誌的研究:その成最近の修士論文■ 柳宗元の花木詩について―「種植」を手掛かりに―性について立の経緯と学術的背景についてろい知識、独創的な視点が必要です。 本専修では、原典を外国語・外国文学として厳密に理解するための訓練を重視し、国内外で多くの優れた成果を公表してきました。日常の研究を支える資料は、百年以上にわたって蓄えられており、国内有数の質・量を誇ります。 現代の地図上で同じ色に塗られた単純な見かけにもかかわらず、〈中国〉には奥行きがあります。たとえば、京都から上海までの距離は、上海から四川省の成都までの距離とほぼ同じ。〈中国〉的伝統は、ひとつではないのです。「万巻の書を読む」ことと併称されてきたのが、「万里の路を行く」。〈中国〉のいろいろな相貌と出会うためには、ぜひ実地も踏んでみてください。最近の博士論文■『白氏文集』編集に関する研究■平安朝における中晩唐詩賦の舶来と享受■呉■と近代西洋の出会い  ― 九二〇年代アメリカ文化のフィルター ―❷❷❸❸准教授 成田 健太郎128DEPARTMENT OF CHINESE LANGUAGE AND LITERATURE教授 緑川 英樹中国古典文学1唐宋変革期における2文学の諸相:「宋調」の展開中国古典学前近代中国知識人の文字書写・文章撰述に対する意識と実践中国語学中国文学専修

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る